琳派の黒い月
L’obscure lune de Rimpa
鏡花水月
Le reflect de la fleur dans le miroir, de la lune sur l’eau
『若冲の春』を催した最後の夜、神田の空には春霞を照らす満月が。
ふと「秋の月といえば琳派・・・」と心に浮かんだことを口々に漏らした時に、お題は決まりました。
御存知の通り、琳派とは本阿弥光悦に端を発しながら、約百年ごとの時を超えて発展して来た、言わば、「リスペクトによる美意識の系譜」です。酒井抱一の手に受け継がれたとき、京の雅は換骨奪胎され、琳派は江戸の粋を体現する実験場に。とりわけ、抱一が屏風に描いた金銀の背景に浮かぶ黒い月は、銀泥が経年変化で黒くなったのか、最初から黒く塗られていたのか、推論が尽きない表現です。
本展では、江戸時代に再評価された手法「鏡花水月」に倣い、訪れる方々の心に映る趣きをたいせつに、黒い月なき井政にて、黒い月をたのしんでいただく展示でございます。
さて、
お月見は元々、月を見上げるのではなく、池や杯に映り込んだ月を愉しむもの。
欠けては満ちる月の計り知れない神秘を身体に取りいれるちいさな儀式がお月見です。
中秋の名月にあたる8日月曜の宵は、黄檗売茶流の煎茶を振る舞います。
芸艸堂は光琳・抱一・雪佳の「秋と月」にちなんだ希少木版画を、龍村美術織物は、初代平蔵が光悦を本歌とした超絶技巧の帯と「菊揉み」を数寄屋袋に仕上げたドキュメントバッグを、裕人礫翔が生け捕った月の掛け軸とともにご覧に入れます。うつわ謙心選りすぐりの器に中村俊月がいける「今様江戸琳派」の花越しに、澄み渡る空と月を愛でてはいかがでしょう?
とき: 2014年 9月6日(土)から 8日(月)まで こと: 花の展示+器・木版画・美術織物の販売 9月6日(土)11時-19時 9月7日(日)11時-19時 9月8日(月)11時-15時 ところ: 東京都千代田区外神田二丁目十六番地 宮本公園内 井政 -IMASA- www.kanda-imasa.co.jp 入場料: 1,000円 ※どなたでもご予約なしでご覧いただけます
特別開催
『中秋の名月のお茶会』
煎茶道 黄檗賣茶流 中井 霜仙の御手前 9月8日(月)18時30分・19時30分・20時30分の3席 予約制:2,500円 ※事前のご予約をお願いいたします お茶会のお申し込み&お問い合わせ:SYUNKA 電話 03-3442-8725(平日11-19時) Eメール contact@syunka.biz